少子高齢化が進む現代社会において、高齢者を地域全体で支える「地域包括ケアシステム」や、複雑な課題を抱える住民への支援を強化する「重層的支援体制」の整備が全国で進められ、地域における関係機関(介護機関・福祉機関・保健機関)の連携体制が推進されています。今後さらに増加が見込まれる救急需要に対応するためにも、消防本部がこれらの地域の仕組みに積極的に関わっていく重要性が指摘されています。しかし、こうした連携の実態や現場で直面する課題についての全国的な知見は、これまでほとんどありませんでした。そこで本研究では、日本全国の消防本部を対象に、地域の介護・福祉・保健機関との連携状況およびその際に生じる課題を明らかにするためのアンケート調査を実施しました。その結果、約84%の消防本部が地域の介護・福祉・保健機関と何らかの形で連携していることが明らかになりました。
消防本部と地域の介護・福祉・保健機関との連携は、地域住民の生活と健康を支えるうえで欠かせないものです。本研究で得られた知見より、今後消防本部と地域の介護、福祉、保健機関のさらなる連携体制の強化と、課題解決に向けた取り組みが期待されます。
本研究成果は、2025年5月28日に日本救急医学会が出版する国際誌『*Acute Medicine & Surgery*』のオンライン版に掲載されました。