京都大学大学院医学研究科社会疫学分野 上野恵子

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論文 2023.12.14

セグメンテーション手法による軽症の成人救急車利用者のサブグループの特徴を特定

日本では、成人の救急車利用者の約60%が救急外来で軽症患者(外来治療群)と判断され、入院の必要性がないとされています。
軽症の救急車利用者は、医学的だけでなく個人の社会経済的・心理的要因が関係しているとの報告があります。
そのため、軽症の救急車利用者は医療的なニーズだけでなく、心理的・社会的なニーズも抱えていると言えます。
しかし、軽症の救急車利用者の心理的・社会的なニーズに関してはこれまでの研究ではあまり考慮されてきませんでした。
これらの心理的・社会的なニーズを特定するための前段階の研究として、今回の研究ではセグメンテーション手法を用いて軽症の成人救急車利用者を共通の特徴をもつサブグループ(セグメント)に類型化することを目的としました。
広島県東広島市消防本部の救急搬送・救急要請データベース5年間のデータを利用し、クラスタリングという統計手法を用いて、5,982人の軽症の成人救急車利用者を6つのセグメントに類型化することができました。
今後の研究では、各セグメントの軽症の成人救急車利用者のニーズを検証し、セグメントに応じた支援策の検討を行う予定です。
(詳細は下記の抄録、論文をご覧ください。)
本成果は、2023年12月12日に「Acute Medicine &Surgery」にオンライン掲載されました。

抄録(和訳)

目的

日本では、成人の救急車利用者の約60%が救急外来で軽症患者(外来治療群)と判断され、入院の必要性がないとされています。本研究は、セグメンテーション手法を用いて、軽症の成人救急車利用者を異なるサブグループ(セグメント)に分類し、その特徴を明らかにすることを目的としました。

方法

広島県東広島市消防本部の救急搬送・救急要請データベースから2016年1月1日から2020年12月31日までの期間のデータを用いた。対象者は、救急外来で軽症と判断された18〜64歳の救急車利用者とした。前述のデータベースから抽出した13の変数を用いて、ソフトクラスタリング手法によりセグメントを作成した。

結果

5,982人の軽症の成人救急車利用者が対象となった。以下の6つのセグメントが得られた:(1)「平日夜間に神経系疾患またはその他の負傷による利用者」、(2)「外傷もしくは火災に巻き込まれ、現場滞在時間が長く、複数病院への問い合わせを必要とした利用者」、(3)「病院間搬送された利用者」、(4)「急病により自宅から救急搬送された利用者」、(5)「交通事故に巻き込まれた利用者」、および(6)「平日日中に地域外の病院に転院搬送された利用者」。

結論

本研究では、救急搬送・救急要請データベースの変数を用いて軽症の成人救急車利用者のセグメントを作成した。今後の研究では、各セグメントの軽症の成人救急車利用者のニーズを検証し、セグメントに応じた支援策の検討を行う。

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