日本では、成人の救急車利用者の約60%が救急外来で軽症患者(外来治療群)と判断され、入院の必要性がないとされています。
軽症の救急車利用者は、医学的だけでなく個人の社会経済的・心理的要因が関係しているとの報告があります。
そのため、軽症の救急車利用者は医療的なニーズだけでなく、心理的・社会的なニーズも抱えていると言えます。
しかし、軽症の救急車利用者の心理的・社会的なニーズに関してはこれまでの研究ではあまり考慮されてきませんでした。
これらの心理的・社会的なニーズを特定するための前段階の研究として、今回の研究ではセグメンテーション手法を用いて軽症の成人救急車利用者を共通の特徴をもつサブグループ(セグメント)に類型化することを目的としました。
広島県東広島市消防本部の救急搬送・救急要請データベース5年間のデータを利用し、クラスタリングという統計手法を用いて、5,982人の軽症の成人救急車利用者を6つのセグメントに類型化することができました。
今後の研究では、各セグメントの軽症の成人救急車利用者のニーズを検証し、セグメントに応じた支援策の検討を行う予定です。
(詳細は下記の抄録、論文をご覧ください。)
本成果は、2023年12月12日に「Acute Medicine &Surgery」にオンライン掲載されました。
論文 2023.12.14
セグメンテーション手法による軽症の成人救急車利用者のサブグループの特徴を特定
第11回大阪蘇生アカデミーで講演しました。
2023.12.07
軽症の救急搬送患者では、高齢者、女性、火災事故、自然災害、交通事故、加害、自傷、病院の問い合わせ回数が4回以上の症例、COVID-19流行が、現場滞在時間延長と関連
2024.01.26